総領事からのご挨拶

令和3年6月21日
在メダン日本国総領事 田子内 進
田子内総領事略歴

このたび在メダン日本国総領事として着任した田子内(たこない) 進です。
インドネシアは私にとって最も馴染みのある国のひとつで、2014年から直近の2020年9月までジャカルタの日本大使館政務部で在勤した他、1990年代にもジャカルタとウジュン・パンダン(現マカッサル)総領事館(当時)で勤務経験があります。また、2005年から2012年までシンガポールの日本大使館で勤務しており、このスマトラ・マレー地域には個人的な愛着もあります。その意味でも、スマトラ島の中心地、インドネシアのマレー世界の中心地であるメダンに今回勤務できることをたいへん嬉しく思っております。
 
日本とインドネシアは、言うまでもなく、緊密な関係にあります。私がインドネシア在勤を始めた1990年代初めと比較しても、この関係はさらに深化し草の根レベルにまで広がっています。最近では、SNSの普及により、この関係は思いもよらない分野にまで波及しています。私は、このような緊密な関係は、在留邦人の皆様がそれぞれの分野で長年に亘りインドネシアの方々と良好な関係を築いてきたその蓄積の上に成り立っていると考えています。諸先輩方が築き上げたこのような良好な関係を引き継ぎ、さらに強化するために努力して参ります。

当館は広大なスマトラ島のナングル・アチェ・ダルサラム州(通称アチェ州)、北スマトラ州、西スマトラ州、ジャンビ州、リアウ州、リアウ諸島州を領事管轄しております。これらの州で生活する在留邦人の皆様や出張者、旅行者の安全確保、さらには進出日本企業に対する支援が当館の最優先事項です。そのために、各州の地方政府や治安機関と緊密な関係を構築していきます。


新型コロナウイルス感染拡大に伴う様々な制限がインドネシアを含め世界的に続いています。在留邦人の皆様も仕事や生活をする上で様々な不便を感じていると思いますが、当館としても、ジャカルタの日本大使館と連携しつつ、管轄地域内における新型コロナウイルスの感染状況や地方政府が発出する様々な感染対策関連の情報発信に努めていきます。
 
このような状況の中でも、新型コロナウイルス感染症対策をしっかり行いつつ、様々なイベントの開催を通じた相互理解の促進や交流を通じて、日本とスマトラ島のさらなる関係強化、さらには、日本とインドネシア関係のさらなる発展のために尽力して参ります。皆様のご理解とご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
 
令和3年6月
 
在メダン日本国総領事
田子内 進

天皇誕生日祝賀レセプションにおける田子内総領事挨拶(2025年2月20日)

皆様 こんばんは。

日本政府を代表し、天皇陛下誕生日祝賀レセプションにご出席いただき御礼申し上げます。天皇陛下は2019年5月1日に第126代天皇として即位され、2月23日に65歳になられます。

2025年は、1月10日及び11日の石破茂総理インドネシア訪問から始まりました。この訪問は、昨年10月の総理就任以降、石破総理にとって初となる二国間訪問であり、世界経済の成長エンジンであり、インド太平洋地域における重要な協力パートナーである東南アジア地域、特にインドネシアが日本にとって如何に重要であるかを示しています。プラボウォ・スビアント大統領との二国間会談では、防衛や経済分野における協力について話し合われました。今回の石破総理訪問を通じて、日本とインドネシアの友好関係がさらに重要になると確信しています。

本日から約2ヶ月後の4月13日から10月13日までの6ヶ月間、「大阪・関西万博」が日本で開催されます。この大阪・関西万博は、コロナ禍を超えた初の万博として、対立や分断など世界が「内向き」になっているタイミングで開催され、人類の未来を考える機会となるでしょう。

また、大阪・関西万博は参加国や日本企業との新たなビジネスチャンスも提供します。大阪・関西万博に多くのインドネシアの方々が参加し、このビジネスチャンスが最大限に活用されることを願っています。

日本と北スマトラ州の協力関係について目を向けますと、2025年1月20日、アサハン3水力発電所の完成式が、プラボウォ・スビアント大統領臨席の下、開催されました。アサハン3水力発電所プロジェクトは、日本とインドネシアの協力プロジェクトです。この水力発電所の完成により、北スマトラ州の電力供給がより安定し、同州の経済発展に寄与することを期待しています。

このような大規模な共同プロジェクトに加え、日本は北スマトラ州と様々な分野で協力を行っており、最近では特に人材育成分野で多くの協力を行っています。北スマトラ州は、EPAの下、有望な介護士・看護師候補生を日本に派遣している最大の州です。 インドネシア人介護士・看護師候補生をはじめ、より多くのインドネシア人が今後日本で就労することでしょう。このような交流によって、日本とインドネシアの協力関係が両国社会のあらゆるレベルで実感されるようになるでしょう。これは、将来の日インドネシア友好関係をより強固で緊密なものにする基盤となります。
 
今宵は、ご列席の皆様に日本の雰囲気を味わっていただけるよう、日本料理と日本酒や日本ワイン、梅酒、ウイスキーなどの日本の飲み物を用意いたしました。さらに、今夜のレセプションでは特別なパフォーマンスも披露されます。日本の料理と飲み物、そしてパフォーマンスをお楽しみいただければ幸いです。 

天皇陛下の一層の御健勝をお祈り申し上げるとともに、スマトラ島がますます繁栄し、真の友人である日本とインドネシアの友好関係がさらに深まることを祈念いたします。

最後になりますが、スマトラ島の伝統である四行詩(パントゥン)を詠んで、私からの挨拶とさせていただきます。
 
      Berkat Tempura dan Rendang kedua hati bertaut       天麩羅とルンダンで両国の心は結びつく
      Penuh rasa penuh cinta                                   感情と愛情が満ちあふれる
      Lewat kerjasama hubungan dirajut                       協力を通じて 関係が編込まれる
      Demi keakraban masyarakat Jepang dan Indonesia       両国国民の親密のために
 
      Pohon Sakura bunganya mekar                                         桜の花が咲く
      Indah sekali pemandangannya                                          その情景はとても美しい
      Masyarakat Sumatra ramah dan jujur                                スマトラの人たちは親切で誠実
      Semoga hubungan baik kita tetap kekal selamanya        私たちの関係が永遠に続きますように

天皇誕生日祝賀レセプションにおける田子内総領事挨拶(2024年2月22日)

御列席の皆さま
 
今宵、天皇誕生日を祝賀するために皆さまと再びお会いすることができ、大変嬉しく思います。日本政府を代表し、本日の祝賀レセプションに御出席いただいた来賓の皆様に感謝の意を表したいと思います。天皇陛下におかれては、2月23日、64歳の御誕生日をお迎えになられました。

御列席の皆さま
 
挨拶の前に、2024年元旦に能登半島を襲った地震と津波に対するインドネシアの人々からの哀悼の意とお見舞いに対して感謝を意を述べさせていただきます。 
 
御列席の皆さま


天皇陛下は2023年6月17日から23日までインドネシアを公式訪問されました。これは、天皇陛下にとって、2019年5月1日の即位後初めてとなる外国への親善訪問となりました。日本とインドネシアの長年に亘る友好親善関係に鑑み、インドネシアが最初の訪問国に選ばれました。2023年は日本・インドネシア外交関係樹立65周年にあたり、今回の御訪問は65周年記念行事のハイライトになりました。


天皇陛下のインドネシアご訪問で示されたように、日本とインドネシアの関係は政府レベルだけでなく、国民レベルでも深化・強化されています。一例をあげますと、ますます多くのインドネシア人観光客が日本を訪問しています。JNTOの最新統計によると、2023年に訪日したインドネシア人観光客は42万9400人で、2019年比で4.0%増となっています。


在メダン日本国総領事館の管轄地域についていえば、アチェ州タケゴン及び北スマトラ州アサハンにおける水力発電プロジェクト等の経済開発協力に加え、地方自治体レベルでの協力も強化されています。リアウ州プカンバル市は川崎市と再生可能エネルギー分野、西スマトラ州ソロク市は豊橋市と上水道給水サービス分野、ジャンビ市は大阪市と同じく上水道給水サービス分野、バンダアチェ市は釜石市と防災教育分野でそれぞれ協力関係にあります。同様に、北スマトラ州とメダン市は横浜市と上水道給水サービス分野で協力を深めています。北スマトラ州は、看護師・介護士派遣の分野において、インドネシア国内ではトップクラスの多くの人材を引き続き日本に派遣しています。


御列席の皆様さま


私たちの世代は、このような日本・インドネシア友好関係の伝統を次の世代に引き継ぐ責任を有しています。この観点から、日本は、新大統領が率いるインドネシアと引き続き協力を強化することをお約束します。在メダン日本国総領事館もまた、スマトラ島における日本とインドネシアの友好関係の強化に引き続き努めてまいります。
 
今宵は、ご列席の皆様に日本の雰囲気を味わっていただけるよう、日本料理と日本酒や日本ワイン、梅酒などの日本の飲み物を用意いたしました。メダン観光学校に派遣されているJICA海外青年協力隊の榊原さんも日本食の提供に貢献してくれました。さらに、今夜のレセプションでは特別なパフォーマンスも披露されます。日本の料理と飲み物、そしてパフォーマンスをお楽しみいただければ幸いです。


天皇陛下の一層の御健勝をお祈り申し上げるとともに、スマトラ島がますます繁栄し、日本とインドネシアの友好関係がさらに深まることを祈念いたします。
 最後になりますが、スマトラ島の伝統である四行詩(パントゥン)を詠んで、私からの挨拶とさせていただきます。


Negara Jepang adalah Negara Sakura                                     日本は桜の国
Begitu indah bunganya                                                           桜の花はとても美しい
Kaisar Jepang adalah simbol negara Sakura                             天皇陛下は桜の国の象徴
Berdoa selalu agar tercipta perdamaian dunia                          世界の平和をいつも祈念されている



Ulang Tahun Kaisar adalah hari nasional Jepang                       天皇誕生日は日本の国民の祝日
Dirayakan seperti hari kemerdekaan                               独立記念日同様にお祝いする
Semoga ikatan hati Jepang dan Indonesia semakin kencang    日本とインドネシアの心の絆が益々強まりますように
Maju bersama menuju sukses dimasa depan                       将来の成功に向け共に進んでいきましょう
 
以上、ご清聴ありがとうございました。

天皇誕生日祝賀レセプションにおける田子内総領事挨拶(2023年3月2日)

皆様こんばんは。
本日は、天皇陛下祝賀レセプションにお越しいただきありがとうございます。
天皇陛下は2019年5月1日、第126代天皇に即位され、先週の2月23日、63歳のお誕生日をお迎えになられました。
 
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、最近2年間は天皇陛下の誕生日を祝賀するレセプションを開催することができませんでした。本日こうして祝賀レセプションのために再び集まることができたことを心より嬉しく思います。こうしてレセプションを行えるようになったのも、北スマトラ州政府及び住民の方のご尽力、防疫努力の賜であり、この機会に心よりの敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 
この3年間で世界は大きく変わりました。社会活動の制限が厳しく行われ、私たちはこの新しい状態に合わせ、生活のあり方を大きく変えざるを得ませんでした。総領事館の活動も影響を受けました。文化、教育、経済などの通常の活動を制限せざるを得ず、査証の発給も制限しました。

しかし、いま私たちは通常の状態に戻りつつあります。日本もインドネシアを含む外国人旅行者に対して再び門戸を開きました。日本総領事館の活動も再開しました。
 
2023年は日本とインドネシアにとって特別な意味を持つ年です。今年、日本とインドネシアは国交樹立65周年を迎えます。現在、日本とインドネシア、特に北スマトラ州との関係はとても緊密です。インドネシア経済の発展、そしてインターネット技術の進展などにより、この関係はさらに強化され、経済分野はもとより、教育、社会文化、そして観光分野にまで拡大しています。草の根交流もさらに深化しています。日本はインドネシア人観光客にとって最も人気のある国です。労働分野では、北スマトラ州は介護士の日本派遣においてインドネシア国内最大の派遣地域になっています。
 
これに加え、2023年は日ASEAN関係50周年の年でもあります。半世紀続いているこの友好関係を維持するためには、力強いコミットメントと具体的な協力が求められます。そしてこの関係を大切に育てる強い意志が必要です。ASEANのある研究所が最近発表した世論調査によると、日本は、インドネシアを含むASEANにとって最も信頼できるパートナー国です。ASEANにとって最初の対話国として、日本は、心と心が触れ合うASEANとの友好関係を次なる半世紀においてさらに発展させていく所存です。
 
以上申し上げた友好関係は、私たち先人たちによる努力の積み重ねのもとに成り立っています。先人たちの努力と貢献がなければ、私たちはこのような現在の良好な関係を享受できなかったでしょう。この特別な年において、日本総領事館はこれらの友好関係の継続と強化に対して力強いコミットメントを行い、その礎の一石にならなければならないとの決意を新たにしています。
 
これからも天皇陛下が長く健康でおられることを祈念し、そして、スマトラ地域が今後ますます発展すること、さらには、日本とインドネシアの緊密な関係が益々発展し、社会の隅々までしっかりと根を下ろすことを願いつつ、わたしの挨拶とさせていただきます。
ありがとうございました。